流通で入手できる少し特殊なフィルム材料①

材料技術

1.市販だが少し特殊なフィルムとしてどんな材料がある?

汎用的なフィルム材料(PE/PP/PET)以外にも、市販されており特殊な用途に用いられるフィルム材料があります。以下6種類は樹脂材料として名前をよく聞くのではないでしょうか。

  1. アクリル
  2. セルロース、セルロースアセテートorアシレート(CA)
  3. 塩化ビニル(PVC)
  4. ポリスチレン(PSt)
  5. ポリカーボネート(PC)
  6. ポリアミド(PA)・ナイロン

 この内、1から3のフィルムについてはいずれも高い透明性を有し、以下の特徴があります。

アクリルセルロース・CAPVC
物理特性硬い硬い添加剤料により
硬い~柔らかい
光学的特性透明~高透明透明~高透明透明
耐熱性高い高いある程度高い
特徴・用途高い透明性で一定の耐候性を有する
成型や印刷適性もある
透湿性が高い
CAは高い透明性
一定の硬さがある
可塑剤量により硬質~軟質まで様々な物性
透明性が高い

2.アクリルフィルムの特徴

アクリルフィルムは、アクリル樹脂というプラスチックのフィルムで、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが樹脂として使用されます。

アクリル、特にPMMAはガラス代替やレンズなどにも使用される透明性の高い樹脂で、アクリルフィルムも透明性の高いことが物性上の特徴です。また材料として硬い特性を持ち、表面保護用に用いられることもあります。吸水性・透湿性は基本的に低めです。一定の耐熱性はありますが、溶剤に対しては白濁や変形し、逆に印刷や塗工などに適する場合もあります。

アクリルフィルムの用途としては、高透明・高平滑であること、印刷適性があること、加熱成型性を有することから、高意匠性の建材や塗装の保護、加飾成型用途などがあるようです。また、高い透明性、光学特性として複屈折が小さいといった特徴があり、液晶や有機EL等のディスプレイ用途にも用いられています。

アクリルフィルムは、PPやPETで実現しにくい、高透明・高意匠性の領域で一定の用途に浸透していると思われます。

3.セルロース、CAフィルムの特徴

セルロースフィルムは、セロハンなどの名前で知られている歴史の長いフィルムです。これは、セルロースを溶剤に溶解し、溶液状態で製膜することが通常です。

セルロースアセテートorアシレートフィルムは、アセテートはセルロースの酢酸エステル、アシレートは少し広いエステル化合物の総称です。セルロースアセテートフィルムとしては、DACorAC(ジアセチルorアセチルセルロース)フィルム、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムなどがあります。セルロースアシレートフィルムはこれらに加え、CAP(セルロースアセテートプロピオネート)フィルム、CAB(セルロースアセテートブチレート)フィルムなどが挙げられます。

セルロースフィルムの特性は、その特に高い吸水・透湿性にあります。機械特性や透明性はPPとPETの間位の硬さ、透明性です。

セルロースアセテートorアシレートフィルムは、セルロースフィルムの特徴であり、欠点でもある吸水性を抑制した物性を有します。このため、水での変形や寸度変化が抑制される一方、湿度を通しやすいといった特徴を持ちます。機械特性としては、DACやTACフィルムは硬くPETと同様な特性、CAPやCABは比較的柔らかい特性を持ちます。また、TACフィルムは、高い透明性、低い複屈折性という特徴があります。耐熱性は比較的高めですが、材料種による違いがあります。耐溶剤性や耐薬品性は対象とする溶剤や薬品により、強い・弱いがあります。

セルロースフィルムの用途としては、その高い吸水・透湿性からアメなどの個包装や医薬品包装用途、またセロハンテープなどがありますが、最近はPPなどに置き換えられています。一方、セルロースの植物由来、生分解性などの特性から市場価値の見直しがあるかもしれません。

CAフィルムはセルロースフィルムの用途以外に、高い透明性を活かした包装材・ラベル用途、またTACフィルムはその耐水性付与と透湿性の両立から写真フィルム用の基材として使われていましたが、現在はその高い透明性と低い複屈折特性から液晶や有機EL等のディスプレイ用途で多く使われています。

セルロースフィルムはその親水的な性質と植物由来材料の特徴、CAフィルムは高透明・高意匠の用途領域、ディスプレイ用途に浸透しています。

4.塩化ビニル(PVC)フィルムの特徴

塩化ビニル(PVC:PolyVinyl Chloride)フィルムは、塩ビなどとも呼ばれるフィルムです。

PVCフィルムの特徴は、その含有する可塑剤の添加量により、硬質から柔軟までの機械物性が幅広く得られるところにあります。透明性はアクリルやTACよりは劣りますが比較的高く表面の平滑性を高くすることができます。耐熱性は可塑剤量によりますが、熱成型性は付与できます。また、塩素含有ポリマーのため難燃性の付与が可能です。吸水性・透湿性は比較的低め、溶剤に対してはなじみやすく耐薬品性は比較的高い材料です。

PVCフィルムの用途は、食品や日用品包装のシュリンクフィルム、柔らかい特性を生かした保護フィルムなどがあります。また、その難燃性や溶剤になじみやすく印刷・着色がしやすい特徴から建材の壁や床面のシートに使われます。ただし、塩素を含むため焼却時の塩酸発生や脱ハロゲンなどの環境規制に対応しづらい、また、塩ビでよく使用されるフタル酸エステル可塑剤の環境規制がある、等の課題があります。

5.アクリル、セルロース系、PVCフィルムを選定する際のポイント

今回のアクリル、セルロース・CA、PVCフィルムを選ぶ際には、その材料の特徴を活用する用途かということをまず検討することがポイントです。

PPやPETより高い意匠性や印刷適性を求める用途では、アクリルやCAフィルム、PVCフィルムなどが選択肢になってきます。用途によっては、硬さあるいや柔らかさ、使用する用途での耐久性、真空成型などの加工適性、建築材料としての難燃性、廃棄などを想定した環境影響、などが選定の際のポイントとなってきます。

一定の吸水・透湿性等を求める用途では、セルロース、CAフィルムが対象になってきます。この場合、使用する環境で寸度変化や変形する可能性などを考慮する必要があります。

また、光学フィルムやディスプレイ用途では、透明性、複屈折性、機能層の塗工適性などが要求され、TACフィルム、アクリルフィルム、PETフィルムなどが主要な選択肢になります。

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