フィルム材料における密着性を考える

材料技術

フィルム材料における密着とは

今回はフィルム材料における「密着」(塗膜等が基材にしっかり引っ付いているか)に関わる技術内容について解説します。

フィルム材料の「密着」では、主にフィルム表面にハードコートなどの機能層を設ける場合、その機能層がしっかり引っ付いているか/はがれるか、ということを評価することになります。実際の使用用途でのはがれと対応がとれる評価方法、また実製品の使用環境を考慮した耐久試験後の密着評価等、対象とする密着の評価方法・環境条件を検討する必要があります。

また、フィルムの開発現場では、製品のターゲットとするレベルの密着性付与のため、表面処理等プロセス面や材料面の技術を検討することになります。

項目 検討内容方法
密着性の評価評価方法クロスカット・テープはくり
スクラッチ試験
曲げ試験(割れ・はがれ)
はくり力試験
表面性評価
 環境耐久試験温湿度試験 耐光試験 実用環境試験(化学処理など)
密着性改良技術表面処理コロナ、プラズマ、火炎処理等
 材料面易接着フィルム
塗工膜処方・条件・処方設計 
プライマー・下塗り層 等

密着性の評価について

密着性の評価としては、塗膜と基材の付着性(引っ付いているか/はがれるか)、というのが直接的な評価の観点になります。ただし、塗膜と基材の付着性は、塗膜の破壊による何らかのきっかけが起点ではがれやすくなることが多く、この観点でいくつかの評価方法が実施されます。

まず、密着評価として一般的な方法は、塗膜表面にカッターナイフ等でクロスカットのキズをつけて、その部分に粘着テープを貼ってはくりする方法です。この評価方法においては、塗膜へのキズのつけ方、はくりするテープの種類(粘着力等)、評価する人による差など、評価ノウハウの検討が必要になってきます。また、評価を定量する際に、はくり試験後のクロスカットのキズのマス目数をカウントするような方法も行われます。

また、塗膜の表面を針でひっかき、その膜のはくりを見る方法などもあります。この評価は、塗膜や基材の物理的な破壊と、密着性によるはくりが混在するため、キズやはくりの評価方法や基準を決めておく必要性があります。また、フィルムの曲げ試験を行い、その際の塗膜に割れやはがれを見る方法もあります。この方法では、塗膜の曲げによる割れと塗膜はがれが混在する可能性があります。これらの試験方法は、実際のフィルム材料を使用する用途におけるはがれの発生状況を考慮して選択することになると思います。

また、密着性の定量化としては、塗膜のはくり力測定など検討されることもありますが、基本的に塗膜は密着が良い方向が望ましく測定困難なことが多いです。また、直接的に密着性を見る方法ではありませんが、密着付与する基材の表面状態把握のために接触角測定なども行われます。

また、実用用途における環境や耐久試験を実施し、その後に密着性を評価する場合も多くあります。実用用途における環境としては、例えばフィルムに化学的処理をするような場合、その処理環境を想定し、水に浸漬した環境や、処理後に密着性をに評価するようなケースです。また、耐久試験としては、主にある温度・湿度下での耐久試験後、もしくは光による耐光試験後(キセノン照射、カーボンアーク照射、UV照射等)に密着性を評価する、等があります。

フィルム材料の密着性を改良する技術手段

フィルム材料の塗膜の密着性付与においては、プロセス面ではまずはフィルム基材の表面処理、また、いくつかの材料技術による改良の可能性が考えられます。

フィルム表面の改良手段は、まずはコロナ処理、次にプラズマ処理、特殊な場合に火炎処理が考えられます。コロナ処理は大気圧放電により、フィルムの表面を放電処理し表面エネルギーを向上(親水化)する方法です。大気圧放電のため、比較的設備導入のハードルは低く、多くのフィルム塗工メーカーで使われる技術です。

プラズマ処理には、大気圧プラズマ、低圧(真空)プラズマ処理があり、コロナに対しては、酸素や窒素下のプラズマによる官能基導入、低圧下でのプラズマのエネルギー向上によりフィルム表面をより深く処理できる等の特徴があります。また、火炎処理はフィルム表面を火炎で処理する方法です。コロナに対し、プラズマ・火炎処理は、より強い(密着性確保の幅が広がる)方法ですが、これらの設備は導入コスト負荷大きく、対応できるメーカーは限られます。

また、材料面での密着改良の選択肢は、主にフィルムメーカーが提供する易接着層付与フィルムを選択することではないでしょうか。易接着層付きのフィルムとしては、PETメーカーからの易接着PETが主な選択肢となると思います。

その他、塗工する処方・材料からの検討可能性としては、塗工液の溶剤の選択や、塗工処方中に化学的反応や樹脂の架橋成分を入れて、硬化反応により密着性を付与する方法があります。プライマーや下塗り層が検討されるケースもあります。これら技術は、それぞれの塗工メーカーにより独自の技術ノウハウや検討により構築されることになると思います。

まとめ

フィルム材料の密着は、基本的に塗膜のはがれ評価等により、開発現場でコロナや基材・処方などの検討を行い、フィルム材料メーカー側で製品設計をすることになります。この際の密着性の目標は、市場でのフィルムの使用方法から密着性としてどのような状況で課題になるか、また、市場クレームがあった場合の現象や使用環境の把握、等により設定していくことになると思います。

このように、「密着」の課題は、フィルムの開発現場において重要な課題です。品質的には、フィルムを活用する製品としての保証環境・期間等を想定した耐久目標を立てる必要があります。

フィルム材料の密着の技術検討に関して、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。

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