フィルム+粘着材料に求められること

材料技術
KC4I0003

フィルム+粘着材料には何が求められるのか

フィルムやテープを様々な用途で使用する際に、知らず知らずの間に粘着剤や粘着機能を活用するケースは多いと思います。同様に異なるものを結合させている「密着」や「接着」に比べ、「粘着」は身近な業務や生活において意識することが多いのではないでしょうか。

粘着剤は単なる「貼る材料」ではなく、一時固定、恒久接着、再剥離、機能材料、といった多様な役割を担い、その特性を生かした様々な用途で使用されます。実際にどのような機能、特性が求められるか読み解いていきたいと思います。

粘着材料に機能として求められること

フィルムに関わる粘着材料は、フィルム+粘着剤の構成で提供される場合と、粘着剤単体をフィルムに貼り付けて使用するケースがあります。このようにフィルム+粘着剤の構成では、粘着機能に求められる用途特性と、フィルム+粘着剤を一体として求められる用途特性があります。

このうち、粘着・粘着剤として求められる機能は、フィルムとその貼合する基材との関係において、仮・一時固定か、再剥離か、恒久固定か、に分けられると思います。

一時固定・仮止め用途は、粘着材料の一度貼ったあとに剥がすことができるという特性を活用した用途です。このような材料は、工業用プロセス等における仮止めや保護が必要な工程内で活用されます。粘着材料としては、タック性や再剥離性などの特性が要求されます。

再剥離・貼り直し用途は、貼り直し可能な付箋や、スマホの保護フィルムなどで活用されています。一時固定と粘着剤特性は重なりますが、繰り返し粘着特性などが特徴になります。

恒久接着用途は、接着剤等と同様な固定を目的とした用途です。ただ、粘着剤の特徴を活かしたクリープ耐性や振動吸収性、また、最近ではリサイクルのための長期使用後の再はくり性などを求められるケースもあります。

粘着機能活用領域要求特性
一時固定・仮止め用途加工工程での部材固定(研磨、切断、搬送)
半導体ウェハのバックグラインドテープ
保護フィルム
初期タック性(軽圧で確実に固定)
再剥離性(最重要)
糊残りなし・被着体非汚染性
条件変化で剥離可能(熱・UVなど)
再剥離・貼り直し用途付箋、再剥離ラベル
ディスプレイ保護フィルム
仮設掲示
中〜低粘着力(制御されたはくり性)
繰り返し粘着性
被着体ダメージレス・糊移行なし
恒久接着(構造・固定用途)自動車内外装の固定
建材(防水シート、内装材)
電子機器の部品固定
高粘着力(ピール強度)
長期耐久性(最重要)
耐熱性・耐湿性・耐候性
クリープ耐性(せん断保持力)
振動吸収(粘弾性)

フィルム+粘着材料として求められること

フィルムと粘着剤が一体となった材料は、そのフィルムとしての機能、および、粘着剤の粘弾性特性の機能や再剥離可能な特性により、様々な実用用途で活用されています。このため、各々の活用用途で、フィルムの機能や粘着剤の機能が様々にカスタマイズされており、それぞれの領域を得意とするフィルム・粘着剤メーカーがあります。

また、高機能用途の電子・光学、医療、機能性粘着剤用途では、粘着材料の設計、品質保証(揮発成分、異物、生体適合等)、機能性材料との組み合わせ設計など、高度な技術・品質保証が必要になってきています。

フィルム材料機能用途要求特性
マスキング用途塗装マスキングテープ
メッキ・エッチング保護
適度な粘着力(十分固定+簡単剥離)
耐熱性(塗装焼付時)
残渣なし、エッジ密着(にじみ防止)
保護用途表面保護フィルム(ガラス、金属、樹脂)
搬送・輸送時のキズ防止
低〜中粘着力
長期貼付後の剥離性維持
汚染・変色なし、耐候性(屋外)
シーリング・防水補助用途防水テープ
窓・外装のシール補助
密着性(濡れ性)
追従性(凹凸面)
耐水・耐湿性、長期安定性
ラベル・表示用途工業ラベル、物流ラベル
食品表示
被着体適合性(紙・PET・金属)
初期粘着力・タック性
環境耐性(冷蔵・屋外)
剥がしやすさ(用途による)
電子・光学用途(高機能)ディスプレイ用光学粘着(OCA)
半導体プロセス材料
フレキシブル回路固定
高透明性(光学用途)
低アウトガス(電子用途)
応力緩和性、精密剥離制御
イオン等汚染なし
医療・生体適合用途絆創膏、医療用テープ
ウェアラブルセンサー
生体適合性(低刺激)
通気性、適度な粘着力(皮膚剥離を防止)
長時間貼付時の快適性
剥離時の痛み低減
導電・熱機能性付与用途導電性粘着剤(EMI対策、接点)
熱伝導性粘着剤
電気伝導性 または 熱伝導性 接触抵抗の安定性
機械的柔軟性、長期信頼性

まとめ

フィルム材料の「粘着」は、フィルム材料を使用するユーザーサイドの要求を考慮した材料設計が必要な技術領域です。このため、顧客サイドの要求性能や使い方による品質保証などを把握することが重要になります。フィルム材料の粘着技術領域は、様々な用途、必要な機能の幅広さ、その機能に対する材料要求があり、いくつかの粘着加工メーカーや粘着材料メーカーがその得意領域を生かして、市場用途や技術にアプローチしています。

フィルム材料、粘着剤の技術検討に関して、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。

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