粘着材料に関わる技術あれこれ

材料技術

主な粘着材料の種類と技術

この項目では、主な粘着材料の種類や加工形態についてお話ししたいと思います。歴史的には古くから接着剤(デンプン糊など)はありましたが、軽い圧力により付着する感圧型粘着剤(PSA:Pressure Sensitive Adhesive)が使われるようになったのは19世紀頃からのようです。

現在の主な粘着剤のポリマー材料を、その特徴や用途と合わせて以下にまとめてみました。これらのポリマー材料に各種添加剤を添加して、粘着剤の特性・物性設計が行われます。

ポリマー材料種特徴用途
アクリル系機能性粘着剤として主流。 透明性や耐久性が高い。初期タック低め光学用途、電子用途、車載用途の粘着剤など
ゴム材料粘着剤として古くから使われている。 初期タックが高い。耐久性等に欠点汎用テープ用(低コスト、初期タック高い)
ポリエステル系高Tg材料が多い。初期タック低め。工業用ラベル(高温、耐久用途等)
ウレタン系柔軟性が高い。吸湿性あり。医療用など。
シリコーン系高温・低温で使用できる。粘着力低め。医療用、航空宇宙用など。

粘着剤のポリマー材料とその特徴

粘着剤のポリマー材料として、現在よく名前を聞くのはアクリル系の粘着剤です。透明性が要求される光学的用途では、一般的にアクリル系粘着剤が用いられ、光学用途粘着剤(OCA:Optical Clear Adhesive)などと呼ばれることもあります。このアクリル系粘着剤の特徴は、ゴム系粘着剤に対して耐候性・耐UV性が高いことです。また、光学的に透明性が高い、アクリルポリマー共重合組成の調整により、様々な粘着剤物性が得られることも特徴です。アクリル系の粘着剤は、粘着剤加工メーカーとアクリル樹脂メーカーの間で様々な粘着特性の材料が用いられています。

ゴム材料の粘着剤は、汎用テープなどでよく用いられる材料です。天然ゴムや合成ゴムのポリマー材料で、低コストであることの他、テープ用途では初期タック、すなわち軽く押した状態で粘着力が発現しやすいことが、ゴム材料系の粘着剤の特徴になります。

ポリエステル系、ウレタン系の粘着剤は、それぞれ物性の特徴があります。ポリエステル系は、高いTgで初期タックが低い特徴から、貼り直しが求められるポスターなどのサイン用途や熱のかかるような工業用ラベルなどに用いられます。ウレタン系はその柔軟性、吸水性などから医療用途での活用が行われています。

シリコーン系の粘着剤は、シリコーンポリマーの高温で分解しにくい、また低温でも柔軟性を保つ特性から航空宇宙用から用いられるようになり、さらに、材料の医療・生体での実績や疎水的な物性特性設計が可能であるといった特徴を活かした、特殊粘着剤としての用途があります。

現在、粘着材料としてはアクリル系とゴム系の粘着剤が主流で、ポリエステル系やウレタン系はその物性特徴を活かしたアクリル系の代替、シリコーン系はアクリル系ではカバーできない物性・用途領域で用いられる、といった用途展開がされていると思われます。

粘着剤における添加剤の材料技術

上記の粘着剤のポリマー材料に対し、添加剤によって粘着剤の特性・物性設計が行われる場合が多くあります。主な粘着剤の添加剤としては、タッキファイヤーと呼ばれる粘着付与剤(樹脂)、粘着力調整剤、硬化剤、可塑剤などがあります。また、フィラー添加を行うこともあります。

タッキファイヤーは主にゴム系粘着剤で粘着力を調整されるために添加される添加剤・樹脂です。また、これ以外に粘着力低減のためにシリコーン系材料やフッ素系材料、ガラスとの密着力を上げるシランカップリング剤などがあります。

また、粘着層の凝集破壊を抑える、耐久性を高める、粘着物性を制御するために、粘着剤ポリマーと硬化剤により架橋を行うことが一般的です。粘着剤の物性調整のため、可塑剤を添加する場合もあります。

また、フィラー添加については、粘着剤に導電性を付与する、無機フィラーで粘着層を補強したり着色するために行われる場合があります。

粘着剤の加工の形態や技術

粘着剤は、単体では柔らかくベタベタした材料のため、実用的に使用する際は一定の機械強度のある材料と積層して用いられます。このため、粘着剤はシート状に加工する必要があり、多くは塗工工程で粘着剤もしくはその溶液を基材に塗布して作成されます。塗布・乾燥して粘着層を形成したあとは、粘着層表面に別のフィルムを貼合して粘着材料の形態になります。塗工するフィルム、貼り合わせるフィルムのいずれかor両方を離形層を設けた離形フィルム(セパレータ)を用いることで、フィルム+粘着剤、もしくは基材レス粘着剤(両面テープ状)を作成することができます。

また、粘着剤の基材への塗工時に印刷技術を応用し、基材上にドット状やパターンを有する粘着剤を形成することもできます。このような粘着層の加工は、フィルムを貼合する際の再剥離性を付与したり、貼る際のエア抜けをしやすくする保護フィルムなどで活用されています。

まとめ

粘着剤、もしくは粘着剤つきフィルム材料の開発では、目標の粘着特性を実現できる粘着材料を探索することになります。この場合、求める特性を付与できる粘着剤メーカー、もしくは粘着加工メーカーとやりとりすることが第一段階になると思います。粘着材料と粘着特性の対応は、これらメーカーの処方ノウハウによる所が多いので、材料or加工メーカーとの技術的に共同することが必要になってきます。また粘着加工メーカーでは、実際の粘着剤塗工まで実施できるケースが多いので材料を実際に作りたい場合は相談がしやすいように思います。

粘着材料、加工に関して、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。

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