フィルム表面への保護フィルムの活用

材料技術

1.フィルム表面保護のための保護フィルムの目的

フィルム材料ではキズやブロッキングが起きやすいことを前回述べてきましたが、これらのフィルム材料のキズやブロッキングは、フィルムを加工する工程においても課題となります。

また、製品表面にフィルム材料を用いた製品、例えばPCやスマートフォン、テレビなどのディスプレイ装置などを顧客に提供する場合、ディスプレイ装置の輸送や設置までのキズつき、またはスマートフォンの設定などの取り扱い時の汚れなど、そのフイルム材料を用いた装置製品のユーザーに提供するまでの製品保証の観点からフィルム材料の表面保護が必要になるケースもあります。

以上のような場合、フィルム材料の表面保護として保護フィルムが選択肢になってきます。保護フィルムによる表面保護は、主要な機能を持つフィルム材料の表面に使い捨て可能なフィルムを付与して、その状態で加工工程や製品を販売するまでの表面を保護し、実際の使用の際にそのフイルムをはがして、フィルム材料自体を実用に供する方法です。

次に保護フイルムの選定の観点、材料等について説明していきたいと思います。

  表面保護の必要な理由課題表面保護方法
機能面フィルムは有機材料のためやわらかいキズ、ブロッキング(貼り付き)塗工の保護層
フィルムの表面が平滑であるブロッキング(貼り付き)、滑り塗工の保護層
フィルムの使用用途での耐久性改良が必要キズ、滑り、防汚性、耐光性、等塗工の保護層
実用面フィルムを組み込んだ製品の加工から
販売までのキズや汚れの防止
フィルム生産・加工時、製品組込み時
製品への施工時、販売までの保証
保護フィルム

2.保護フィルムを選ぶ場合、表面保護層を選ぶ場合の観点

フィルム材料の表面保護の方法として、表面保護層、もしくは保護フィルム、それぞれの可能性を検討することになると思います。これらの選択の観点を見ていきたいと思います。

表面保護層と保護フィルムの選択を考える場合、以下の4点がまず考慮する点になると思います。

  1. その機能をフィルムに組み込む必要性を考える。
  2. 基本的保護機能の必要な内容と機能を兼ねることが必要かを考える。
  3. 開発などの技術検討が可能かを考える。
  4. 廃棄フィルムの発生が許容されるかを考慮する。
方法フィルムへの
機能組み込み
保護機能の付与
(キズ・潤滑・汚れ防止)
技術検討廃棄フィルム
の発生
表面保護層基本個別設計無し
保護フィルム基本的に不可いくつか機能兼ねる既成品選択有り

3.フィルムに組み込むか、多様な保護ニーズに応えるか

上記項目の1と2は、保護層か保護フィルムかを選択するポイントとなります。これらを検討するにあたって、保護フィルムが必要となるポイントとしては以下の観点が挙がります。

  1. フィルムの主要機能がその表面特性自体にあり別途保護層を付与するのが技術的に困難な場合
  2. フィルムを貼合する保護の目的が多岐に渡る場合(保護目的がキズ+汚れなど)
  3. フィルム材料の表面保護層の必要度と、工程・コスト負荷の考慮。

Aのケースは、フィルム材料が表面の機能を活用するもので、保護層付与でその機能を果たさなくなる場合です。例えば、表面に導電性を付与するフィルム、表面に親疎水機能や防曇などの機能を付与するフィルム、保護したい面に粘着・接着・密着等の層間の結合機能を付与するフィルムなどでは、保護フィルムの活用が必要になります。

Bのケースは、ディスプレイ装置製品のフィルム表面を保護するような場合です。この場合は、キズ防止に加え、汚れ防止など、多岐にわたる保護機能が必要になり、表面保護層でそのような設計を考えるよりも、保護フィルムで解決することが最適解になってきます。

Cのコストは、保護層付与か保護フィルムかを単純に切り分けられる訳ではないですが、一般的に塗工層付与の場合は、材料調達や溶剤乾燥、塗工後の耳部の処理などコストアップ要因が多いため、保護フィルムのような貼合加工の方がコスト面で有利な可能性があります。

また、前段項目3の技術開発については、保護層では一定の塗工処方設計などの技術検討をする必要がある一方、保護フィルムは既製品から選定することを、開発時点で検討が必要になります。また、保護フィルムを使用する場合は、4のように廃棄フィルムが発生し、最近の状況として廃棄物増加や環境課題の対応負荷が顧客サイドから指摘されるケースも想定されます。

4.表面保護フィルムの選択の観点

フィルム表面保護用の保護フィルム材料は、その用途目的が使い捨てフィルムということもあり、フィルム材料としては基本的に汎用のフィルム材料であるPE・PP・PETなどが市販品での選択肢になります。保護フィルムを製品フィルムに貼ることで保護する場合には、汎用フィルムに微粘着機能を持たせ、ラミネートフィルム、保護ラミフィルムなどと通称されます。また、粘着剤つきフィルムの粘着層などを保護する際には、汎用フィルムの表面に離形処理などを施した、セパレータ―フィルム、離形フィルムが使用されます。

保護フィルム材料は、フィルムの滑り性やラミ貼合時に保護フィルムが貼ってあることを視認できるようにするためマット化した半透明フィルムが良く用いられます。一方、保護フィルムを貼合したあとに目視で検査など行う場合は、透明なPETフィルムが使われる場合もあります。また、フィルムの加工工程内に用いられる場合は、保護フィルムと製品フィルムの状態で光学的検査を行う場合があり、低複屈折性や高透明性があるフィルムが要望される場合もあります。

また、保護ラミフィルムなどの場合は、その微粘着層について、最適な粘着強度の選定、フィルム基材への粘着材料成分の転写や移行性を確認、選定する場合もあります。使用条件が高熱になる等の場合は、耐熱性も考慮する必要があります。

このように、保護フィルム選定でフィルム材料や粘着剤の選定と評価が必要な場合があるため、上記内容を保護フィルム材料を選定する場合のポイントとしてご参考にしてください。

5.まとめ

フィルム表面保護用の保護フィルムは、フィルムの廃棄物発生などの課題はあるものの、フィルム機能を活用する材料で選択しやすく、保護層で様々な保護機能を満たすのが難しいことから一定の高機能フィルム用途で多くのニーズがあります。

また、保護フィルム選定では、保護フィルムを貼っている際にフィルム表面機能を維持すること、また、フィルム加工工程における検査要求を満たす等の観点から、フィルム基材、粘着剤機能の評価・選定が必要になります。

フィルムおよび加工方法の選定に際して、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。

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