1.フィルムの加工・機能化の種類
これまでフィルム材料の選択肢をご紹介してきましたが、これらのフィルム材料を単体で用いるケースは限定的と思います。実用的には、これらのフィルム材料は、使い易さを改善する、特性・物性を改善する、機能性を付与する、他の部材へ一体化加工する、ということを行い、実用に適したフィルムにする必要があり、その加工・機能化によってフィルムの機能を活用していくことができるようになります。
フィルム加工による機能化を、付与したい機能の観点から大きくカテゴライズしてみました。一般的にフィルムに期待される機能はこのカテゴリーのいずれかに分けることができると思います。
- 表面保護:フィルム材料は有機系材料のため、取扱い上の変形や傷など改善する機能化です。
- 粘着・接着:フィルムを複合化、他の基材へ一体化するための機能化です。
- 表面機能性付与:フィルムの表面特性として、特徴的な特性を付与する機能化です。
- フィルム機能性付与:フィルムのバルク全体の機能を向上・改善する機能化です。
| 加工による機能化 | 改善する物理特性 | 加工の具体例 |
|---|---|---|
| 表面保護 | 機械特性、潤滑性など | 保護フィルム、ハードコート等 |
| 粘着・接着 | 粘着・接着性、表面特性 等 | 粘着層、表面処理等 |
| 表面機能性付与 | 表面特性(親疎水等)、帯電防止 等 | 離形フィルム、親水・防曇フィルム等 |
| フィルム機能性付与 | 光学、機械特性、バリア性、電気・熱特性 等 | 液晶フィルム、積層フィルム、バリアフィルム、遮熱フィルム等 |
2.フィルムの機能化・加工の目的
フィルムの機能化について記載してきましたが、その機能化の目的を説明したいと思います。これまで、フィルム材料の種類とその機能・用途についてお話ししてきましたが、それらの機能を実際の用途に適用する際にはいくつかの課題が生じてきます。
一つ目は、フィルム材料の表面を保護する課題です。フィルムは一般的に有機系の材料であり、有機系材料は一般的に金属やガラスのような材料に比べて、柔らかい特性があります。また、フィルム材料は透明性が高い材料が多く、その透明性や平滑性が製品としての価値となるため、取り扱い時のキズや変形を抑制する必要性が生じます。また、フィルムの製造プロセスではロール形態に巻き取って供給することが一般的であり、そのプロセスや巻き取り性などから、フィルム表面の潤滑性(滑り性や貼り付き性)などを付与するニーズがあります。
二つ目は、フィルム材料を実際に活用する用途に導入するための課題です。フィルム材料を活用する方法はフィルム単体でカバーや袋にするような使用方法と、ガラスや基板などにフィルムを一体化しその機能を活用する使用方法があります。後者の場合は、フィルムに粘着・接着等の機能を付与する必要が生じます。また、いくつかのフィルムや層を積層して機能化する場合にも、粘着・接着機能は重要な役割を果たします。
三つ目は、フィルムに新しい機能を付与する機能化です。この機能化については、(1)フィルムに機能を追加する、(2)もしくはフィルム材料単体では達成できない機能を付与する機能化、に分けています。
(1)フィルムに機能を追加する、という内容は、あるフィルムの特に表面に特徴的な機能を付与する、という内容で、例えば表面を親水化や疎水化する、帯電防止等の機能を付与するなどが挙げられます。フィルム材料は、そのシート状構成に2つの大きな表面を持つのが特徴であり、その表面に特徴的な機能を付与することで、フィルムとしての用途が広がるという側面があります。
(2)フィルム材料単体では達成できない機能を付与する、という内容は、フィルム材料単体の欠点を補うフィルムの複合化、またはフィルム単体では不足する特性を付与する、という内容です。前者は、あるフィルム材料の機械特性の改良のためにラミネートして用いる、といった内容が想定されます。後者は、例えばフィルム単体では付与できない光学特性を機能層の塗工により付与する、フィルム材料のバリア性改良のために蒸着層を付与する、という内容が想定されます。
このようなフィルム材料の活用と、加工・機能化によって、実用的なフィルム活用用途に展開するイメージを以下に整理してみました。

Summary by Claude
3.まとめと今後
フィルム材料は、その機能性や物性特性を活用するために、一定の加工・機能化が必要な場合が多くあります。その内容と機能化の目的を整理してみました。
これらの加工・機能化は、フィルム材料を活用する用途、その用途において顧客が活用する方法、フィルムを提供するメーカーがどのような販売形態で展開するか、といったビジネス展開の観点で目的やサプライチェーン、コストを検討することが必要になります。
これからばらく、このような加工・機能化の技術内容や目的、またその加工を選択をするための情報について記載していきたいと思います。
フィルムおよび加工方法の選定に際して、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。
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