フィルムの光学特性機能化

材料技術

フィルムの光学特性へのニーズ

フィルム材料における光学特性に対するニーズは様々です。例えば、汎用フィルム材料を包装用に使用する場合、中味をはっきり見せたいために透明性にこだわった材料選定をする、などは、フィルム材料の透明性に着目したニーズと言えると思います。

一方、フィルム材料に光学特性機能をさらに付与し活用したいニーズもあります。「光学特性」は幅広い概念ですが、これを物理学的な要素で分類すると、透過、吸収、反射、干渉、散乱、屈折率制御、発光、などがあります。これらを応用した機能性フィルムとして、透過/光カットフィルム、低反射・防眩・反射防止フィルム、複屈折制御・偏光フィルム、など、さまざまな光学機能化フィルムが世の中にはあります。

このような光学機能化フィルムは、様々な用途領域で使用されているのですが、ここでは、光学機能を活用し、普段の我々の活動の中でその機能を目にしやすい用途領域として、(1)ディスプレイ用途、すなわち液晶パネルやOLED、その他画像表示装置の用途、(2)モビリティ用途、すなわち自動車や電車、船、航空機等の窓や、室内の表示装置などの用途、(3)建材用途、すなわちビル窓などのウインドウ用途、の光学機能の内容やニーズを見ていきたいと思います。

 透過性・ 
光制御精度
位相差・
偏光制御
低反射拡散UVカット遮熱耐久性
ディスプレイ用途
モビリティ用途
建材用途×

 品質への要求度  ◎非常に高い 〇高い △一般範囲 ×要求低い

ディスプレイ用途の光学フィルム材料

ディスプレイ・画像表示装置は、様々な光学機能フィルム材料が活用される用途です。まず、液晶表示ディスプレイにおける光学フィルムの例をあげると、以下が挙げられます。

  1. 偏光板、および位相差フィルム:液晶表示装置の表示機能を発揮させるフィルム。
  2. バックライトの拡散・プリズム・導光板フィルム等:バックライトの光を効率よく使う。
  3. 表面の低反射・防眩・反射防止フィルム:画面の視認性を付与し、表面を保護する。
  4. その他:カラーフィルター、ブラックマスク、色再現向上フィルム(量子ドット)等

次に、有機EL(OLED)表示ディスプレイにおける光学フィルムの例は、以下になります。

  1. 円偏光板+位相差フィルム(波長板):金属電極による外光の映り込みを防止する。
  2. 光取り出し向上(マイクロアレイ・散乱)フィルム:光の使用効率を高める。
  3. 表面の低反射・防眩・反射防止フィルム:画面の視認性を付与し、表面を保護する。

ディスプレイ用途における光学フィルムは、その表示装置の表示品質を決める設計要素となります。このため、その光学特性を付与する技術、目標品質ターゲットやバラツキ低減、平面性やムラ、異物などの品質管理、といった技術や品質に対する要求が高いことが特徴です。

モビリティ用途の光学フィルム材料

車載や輸送機器(電車、船、航空機等)の用途の光学フィルム材料としては、ウインドウ用フィルム、また最近はヘッドアップディスプレイ(HUD)用の光学フィルムなどがあります。

ウインドウ用フィルムとしては、車内の温度上昇を抑制するための赤外線カットや遮熱フィルム、内装の劣化防止のための紫外線カットフィルムなどがあります。また、最近の動向として、自動車のフロントガラスに情報を表示するヘッドアップディスプレイ(HUD)が一部車種で実用されていますが、この領域ではフロントガラスの中間にあるインターレイヤーフィルムの光学機能も検討されています。また、車のカーナビ、メーターパネル、輸送機器の表示装置などは、ディスプレイ用途の一部にななりますが、輸送機器用途としてディスプレイ用としては高い耐久性が求められます。

これら、モビリティ用途のフィルムでは、外光の影響下にある、長期間使用することから、高い耐久性が求められます。現在実用化検討がされているHUDなどでは、さらに光学特性の品質要求が高くなることも予想されます。

建材用途の光学フィルム材料

建材用途の光学フィルムのニーズとしては、紫外線カットフィルム、赤外線カット、遮熱・断熱フィルムがあります。また、一部では低反射フィルムや、逆に外から見られにくい拡散・ハーフミラーフィルムなどの用途もあります。用途ニーズとしては、遮熱・断熱・赤外線カットが大きく、UVカットは建材用フィルムでは標準的な機能になっているようです。

建材用の光学フィルムでは、やはり耐久性が重要になってきます。光学特性の高度な要求や、フィルムの面の品質等は、ディスプレイやモビリティ等と比べると高い要求ではないと思われます。

まとめ

光学フィルム材料の用途は、その求められる光学機能や用途は様々です。このため、今回は、光学機能フィルムの用途として、ディスプレイ、モビリティ、建材に分けて、フィルム材料と品質要求の特徴をまとめました。それぞれの用途の品質要求として、光学機能の要求の強いディスプレイ用途、耐久性が重視される建材用途、その中間(どちらかというと耐久性要求が高い)のモビリティ用途、という特徴があります。

このような品質要求特徴の影響もあり、光学機能重視のディスプレイ用途ではフィルムメーカーとその顧客間のすり合わせが重視され、ある顧客専用のフィルム材料が多くなります。一方で、建材用の遮熱フィルム等は、広いユーザーをターゲットとし一般市場経由でも入手可能なフィルムが多いと思われます。モビリティ用途は、建材用フィルムと似たウインドウ用、ディスプレイ装置と同様の車載ディスプレイ、という混合形ですが、最近のHUDではこのどちらとも異なる新たなビジネス形態ができあがってくるかもしれません。

フィルムの光学機能化、光学フィルム材料に関して、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。

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