フィルムの表面特性の機能化内容
フィルムの機能化加工として、表面保護(ハードコート・滑り付与等)、密着・接着・粘着等の技術を紹介してきました。これら以外のフィルム表面の機能化としては、表面特性制御、光や電気特性の制御などがあります。
フィルム材料の表面特性の制御としては、主な機能化目的としては、表面自由エネルギーの制御(疎水化・親水化)や、生物・生体由来の材料との相互作用(抗菌・防カビ・細胞付着など)が挙げられます。これらの機能化の材料および加工の技術について見ていきたいと思います。
| 表面の機能化 | 技術ポイント | 目的 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 表面の疎水化(低表面エネルギー化) | 疎水材料活用:フッ素、シリコーン、アルキル 等 | ・防汚・指紋防止 ・撥水・撥油 | スマホ用指紋防止 離形フィルム |
| 表面の親水化 | 親水化剤 親水化処理 | ・水膜形成 ・吸水性付与 | 食品用、農業用、建材用の防曇フィルム |
| 表面の光触媒付与 | 光触媒技術 | ・汚れ分解 | TiO2コーティング |
| 表面の対生物機能化 | 抗菌材料:Ag、Cu、有機系 等 タンパク・細胞吸着の制御材料技術 | ・表面の抗菌・防カビ ・タンパク・細胞吸着制御 等 | 抗菌フィルム(タッチパネル・スマホ用) 医療・細胞培養・生体機能材料 |
フィルム表面の疎水化の技術と目的
フィルム材料において表面疎水性が求められる理由としては、(1)表面に汚れや他物質が付きにくい、または(2)水などの液滴をはじく、といった機能目的があります。これらの表面疎水化(正確には低表面自由エネルギー化)では、疎水性のフッ素系材料、シリコーン系材料、アルキル系材料の表面特性を付与する技術がポイントとなります。
次に、フィルムの疎水化が求められる用途を、2つの主要機能ニーズから考えていきます。フィルム疎水化の目的の(1)汚れ防止においては、固体に近いさまざまな物質や汚れがフィルム材料表面に付着しにくいことと、付着しても除去し易い、という機能に分けられます。
このような機能の求められる用途として、農業ハウスや建材用途で長期使用しても汚れが付着しにくい、というニーズがあります。具体的には、農業用ポリオレフィンフィルム、フッ素系フィルムなどは、疎水性材料のため汚れ付着防止の機能も期待される材料になります。
また、スマホやタッチパネルでは指紋付着防止フィルムがあります。これらフィルムは、基材のフィルム上に疎水性材料をコーティングされます。指紋付着防止機能としては、付着を十分に抑えることは難しいため、汚れのふき取り易さが実用的に重要なことが多いです。
また、他の表面疎水性フィルムの用途として離形フィルムがあります。離形フィルムの主な用途として、粘着剤の粘着面から剥がすセパレータフィルムがあげられます。離形フィルムでは、PETなど汎用フィルム基材に離型剤を塗布することが多いです。
もう一つの(2)水などの液滴がはじく、という機能については、自動車のフロントガラスのコーティング剤などはありますが、フィルム材料としてはあまり市販品は少ないように思います。このような機能は、屋外での用途ニーズが多く、一般の有機フィルムよりも耐久性の高いフッ素系フィルムが活用されもともと疎水性のため、課題としてとらえられていないのかもしれません。
フィルム材料の表面疎水化の加工としては、疎水性のフィルム材料を活用する、フィルムに疎水性コーティングをする、ということが主流です。なお、最近は微細凹凸表面の疎水化により、表面のハスの葉効果で水滴をはじきやすくする技術などがあり、このような場合は疎水成分の蒸着等の加工が行われることもあるようです。
フィルム表面の親水化の技術
フィルム材料の表面親水化は、疎水化に比べると限られたニーズ・用途の材料という印象があります。表面親水化の技術としては、親水化剤の付与、およびフィルムの表面処理があります。親水化剤にはさまざまな材料・処方技術があり、フィルムの表面処理は、ケン化処理、プラズマ等の表面処理があります。
フィルムの親水化処理による表面機能化のコンセプトは、(1)水膜形成、すなわち水滴を表面に広げ水滴で見えにくくなることを防止すること、(2)吸水性、すなわち高い吸水性による水滴を形成しないこと、があります。なお、市販フィルムでは上記を区別せず防曇フィルムといったり、親水性フィルムといったりしています。なお、技術的には親水化剤は上記(1)の機能、表面処理では(2)と(1)の両方の機能設計のコンセプトになります。
なお、前述の農業用フィルムでは、疎水性のポリオレフィンフィルムなどに、流滴性と呼ばれますが、水滴を流しやすくする親水化剤を加工する場合もあります。
その他のフィルムの表面機能化技術・加工
上記以外のフィルム材料の表面機能化として、表面の光触媒による汚れ分解性付与、表面の抗菌・防カビ機能化やタンパク・細胞付着性制御、などがあります。
表面の光触媒機能化は、主にTiO2系の光触媒コート技術の活用ですが、光触媒は有機物を分解するため、フィルムへの活用は限定的なようです。表面の抗菌・防カビは、Ag系やCu系の抗菌コートされているフィルムが、スマホやタッチパネルなどにも使われています。タンパクや細胞付着性の制御は、その用途の個別性があるので、用途に合わせての材料になると思われます。
これらの、光触媒や抗菌の機能は、基本的にその機能を持つ材料をフィルムにコーティングするのが基本的な加工になると思われます。
まとめ
フィルムの表面特性の制御としては、疎水化(低表面エネルギー化)と親水化、および機能性塗料による光触媒付与、抗菌機能付与、等の技術によるフィルム材料があります。
表面疎水化は、疎水性フィルムの活用や疎水性コーティング技術による市販材料の選択肢があります。実用的な加工検討では、離形フィルムのメーカーなどを探索する可能性があります。親水性フィルムは、市販の親水・防曇フィルムを探索することができると思います。光触媒や抗菌等の機能化については、その機能性塗料の技術を有するメーカーへのアプローチが選択肢になるのではないでしょうか。
フィルムの表面機能化に関して、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。
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