フィルム表面保護のための塗工層と加工技術

材料技術

1.フィルムの表面保護の目的と対策方法

フィルム材料は、一部ガラスや金属などもありますが、基本的に有機材料が主流であり、有機材料は金属やガラスなどに比べて柔らかい機械特性の材料です。また、フィルムはその基になる材料を薄く平滑になるように製膜し、その薄い厚みの両面に2つの広い表面を有する形状とし、そのフィルムをシート状に重ねたり、連続的にフィルムを巻き取ったロール形態で生産する方式が主流であることから、フィルムの2つの面が重なる状態になりやすい特徴があります。このようなフィルム材料の原材料や形状、生産プロセスの特徴から、フィルムの表面ではキズ、ブロッキング(貼り付き)などの課題が生じてきます。

このようなフィルム材料の表面保護技術として、実用的に多く検討されるのは、塗工による保護層付与と、保護フィルムの貼合になると思います。これらの塗工層の技術、保護フイルム材料等について説明していきたいと思います。

  表面保護の必要な理由課題表面保護方法
機能面フィルムは有機材料のためやわらかいキズ、ブロッキング(貼り付き)塗工の保護層
フィルムの表面が平滑であるブロッキング(貼り付き)、滑り塗工の保護層
フィルムの使用用途での耐久性改良が必要キズ、滑り、防汚性、耐光性、等塗工の保護層
実用面フィルムを組み込んだ製品の加工から
販売までのキズや汚れの防止
フィルム生産・加工時、製品組込み時
製品への施工時、販売までの保証
保護フィルム

2.フィルム表面保護のハードコート層付与と加工

フィルムの表面保護層としては、主に、①ハードコート層による表面のキズ防止、②粗面・潤滑化する塗工層による貼り付き防止・滑り性の付与、が挙げられます。また、このような機能化の他に、フィルム材料を使用する際の防汚性・光耐久性・バリア性等の機能付与などがありますが、これらは積極的な機能付与のため後ほど別項目で記載します。

ハードコート層による表面の保護は、フィルムの表面に保護層となる硬化層を付与して、表面のキズを防ぐものです。硬化層は、一般的な方法としては有機材料で架橋密度を高くできるように架橋反応基を設計・調整した材料を塗工し、熱またはUV光により塗工後に硬化プロセスを経て表面に硬化層を形成します。現在は、材料選択肢が多いことと、硬化プロセスの生産効率が高いことから、アクリル系材料を塗工してUV硬化するプロセスを用いるメーカーが主流です。また、最近はフィルム表面にゴム弾性のある層を付与してキズがついても自己修復される保護材料もあります。

このようなハードコート層塗布加工は、塗工をしたいフィルム基材に対するアクリル材料選定や塗工層厚みなどの設計、またハードコート層の塗工層均一性など、様々な「塗工加工」メーカーへの依頼や技術相談をすることになります。実用検討にあたっての技術課題は、「キズつきにくさ」の目標設定、塗工層と基材の「接着性」、ハードコート層付与によるブロッキング性、また、ハードコート層に光散乱などの機能を付与する場合の塗布材料の処方設計などがあります。

3.フィルム表面の粗面・潤滑化層の付与

フィルムの表面を粗面・潤滑化する塗工層は、フィルム材料の製造の際に表面の平滑性が高すぎるとフィルムの巻き取り不良などが起きるため、フィルム生産メーカーにおいてフィルムを粗面化したり、フィルム表面の粗面化層を付与していることがあります。また、汎用包装材に用いるようなフィルム材料では、フィルム樹脂に粒子を混錬し半透明や白色フィルムにしつつブロッキング防止することも多いと思われます。一方、高い透明性が必要なフィルム材料では、光透過性を維持しつつブロッキング(貼り付き)を防止する技術が必要となります。また、フィルムの粗面化ではフィルムの滑り性の改善効果がありますが、粗面化に加えて、もしくは粗面化と独立して、フィルム表面にアルキル系、シリコーン系、フッ素系等の潤滑剤を付与することもあります。

以上のフィルム表面の粗面・潤滑化層はマット化層や滑り層などと呼ばれることがあります。これらの層はフィルム材料の段階で付与されている場合にはフィルム片面に付与されることもあり、例えばロール状でフィルムを入手する場合、層が付与されているのが巻き取りロールの外面か内面かを確認する必要があります。これは、例えばフィルム材料にさらにハードコート層を付与する場合の塗工面を検討する際に、ロールフィルムの外面と内面のどちらに塗工すべきかなどの検討の際に必要な情報です。粗面・潤滑層に潤滑剤などが使用されている場合は、転写などによる塗工性への影響なども確認項目になります。

フィルム材料のキズやブロッキング(貼り付き)性は、フィルム材料特性として求められる機能とは別に、フィルム材料を実用的に取り扱いしやすい形で顧客に提供し活用していくためにフィルムメーカーや加工メーカーにおいて様々な技術検討がされています。フィルム材料の選択や加工メーカーへの技術相談に際しては、これらの技術ポイントを押さえていくことが重要です。

4.まとめ

フィルム材料は、有機系材料等の柔らかい材料を、広い表面を持つように平滑に製膜するため、表面のキズやフィルム同士のブロッキングの課題が生じやすいという特徴があります。

これらの課題に対して、フィルム表面のキズ防止のためのハードコート層としてはフィルムの塗工加工メーカーへの相談が可能と思います。また、粗面・潤滑層といった塗工層はフィルムメーカーからの材料の技術と選択肢を探索することがファーストステップになります。

フィルムおよび加工方法の選定に際して、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。

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