粘着材料・特性の評価の目的
フィルム+粘着剤や粘着剤は、さまざまな用途や使用方法があり、ユーザーサイドの実用適性を考慮することが求められる材料です。この粘着・粘着剤として求められる機能を、粘着特性から区分けしていくと、仮・一時固定、再剥離、恒久固定、に分けられることを前回説明してきました。
この粘着機能は、何らかの粘着特性評価により把握できることが、粘着剤を開発するような場合には必要になってきます。しかし、粘着特性は、①材料の機械特性的な評価であり評価条件・方法のノウハウが必要なこと、②評価の指標が粘着材料に固有、③実用上の機能と評価上の特性の結びつきに技術的な解釈が必要、④評価した特性が実用条件とは必ずしもあわない、といった課題があり、評価の方法や指標を設定するのに技術的経験やノウハウが必要になってきます。
一方、粘着特性の評価指標についても、使う用途に求められる機能によって変わってきます。いくつかの例として、窓や壁に貼るような屋外用途で貼る時には平面性や位置を微調整しながら貼り直したいが貼った後ははがれないようにしたい、医療用途では皮膚に貼って動いているときにはがれにくい一方皮膚から剥がす時に痛くないようにしたい、など、時間経過や貼る材料、実用に近い評価指標などが求められます。最終的には実技評価になる場合も多いですが、材料選択段階では粘着特性で評価したい場合などもあるように思います。
粘着材料評価は、材料技術的なノウハウが求められる領域ですが、まずは一般的な評価特性から整理していきたいと思います。
粘着材料における一般的な粘着特性評価について
粘着材料の評価は、基本的には実技評価を模擬した特性として、粘着・はくり特性、保持・耐荷重特性、再剥離・加工性と、高分子である粘着材料の粘弾性特性評価が中心です。粘着剤は基本的に高分子材料であり、粘着材料組成等と粘着物性に一定の対応づけができるわけではなく、粘着材料の粘弾性特性等と実技特性の対応を把握・解釈していくケースが多くなります。
粘着・はくり特性は、タックと呼ばれる初期粘着特性と、貼ったあとはがす時の粘着力・剥離強度が主な評価指標です。タック性は、テープを基材に貼った時点で粘着剤が基材に貼り付くかはがれやすいかを評価する指標、というのが実用上のイメージです。粘着力は、基材に貼って一定の時間がたったあとに基材から粘着剤をはがす時に必要な力です。この粘着力評価上で技術的ポイントとなるのは、はくりする角度・はくり速度、また基材と粘着剤を貼ってから測定するまでの時間(粘着力の時間依存性)などです。また、粘着力の強さによって、粘着材料の粘着特性を、微粘着、弱粘着、中粘着、強粘着、などに分類する場合もあります。
一時固定・仮止め用途は、粘着材料の一度貼ったあとに剥がすことができるという特性を活用した用途です。このような材料は、工業用プロセス等における仮止めや保護が必要な工程内で活用されます。粘着材料としては、タック性や再剥離性などの特性が要求されます。
保持特性・耐荷重性は、貼り合わせた面に力がかかった場合の変化を評価します。このような評価は、時々接着剤の評価として行われますが、粘着剤でも同様な機能が必要な場合に評価されます。なお、静荷重での変形(クリープ)は粘着剤において起きやすいかもしれません。
再剥離・加工性評価は、実技特性に近い評価になると思います。評価の観点としては、再はくりした時に、何が求められるかによって変わってくると思います。
粘着材料の粘弾性特性は、高分子で柔らかい材料である粘着剤を、高分子の材料物性として特性を把握し、上記の実用的な粘着特性と対応付け、材料の設計検討に使う目的で測定されます。材料組成と粘弾性物性のつながり、粘弾性物性と実技特性のつながりを、技術的に理解するために活用される指標です。
| 評価したい特性 | 評価項目 | |
| 1. 粘着・剥離特性 | タック(初期粘着力) | 軽い圧力で接触したときの付きやすさ(ボールタックなど) |
| 粘着力(剥離強度) | 一定角度(90°/180°)で剥がしたときの力 | |
| 粘着力の時間依存性 | 貼付後の時間経過による粘着力増加 | |
| 2. 保持特性・耐荷重性 | せん断保持力(保持力) | 面内方向の荷重に対する耐久性(クリープ耐性) |
| 動的せん断特性 | 振動・衝撃条件下での保持能力 | |
| 静荷重変形(クリープ) | 長時間荷重下での変形量 | |
| 3. 再剥離・加工性評価 | 剥離試験時の評価 | 再剥離性(低ダメージ剥離) 糊残り性(残渣評価)、リワーク性(再加工適性) |
| 剥離トリガー応答 | UV剥離、加熱剥離など | |
| 4. 粘弾性特性分析 | 貯蔵弾性率(G’)/損失弾性率(G”) 弾性と粘性のバランス tanδ(損失係数) 粘弾性の比率(タック・保持力との相関) ガラス転移温度(Tg) 温度による物性変化の指標 | |
まとめ
粘着材料の開発では「粘着特性」を評価し、実用的な物性につなげること、粘着剤の選定につなげることになりますが、粘着剤は高分子材料から設計することから、材料技術的な経験やノウハウが必要になります。このため、粘着剤に求められる機能を洗い出し、その機能を何らかの物性で表現できるようにしつつ、その求められる物性を有する材料を選定する、という技術的なアプローチが必要になります。
フィルム材料、粘着剤の評価技術に関して、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。
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