バリア性の高いフィルム材料とニーズ
バリア性の高いフィルム材料として、以前樹脂材料自体がバリア性の高いフィルムをご紹介しましたが(過去記事はこちら)、他の方法として、フィルムにバリア性を付与する加工を行う方法があります。このような材料としては、アルミ箔のラミネートフィルム、アルミ蒸着フィルム、SiO2やAl2O3のような無機蒸着層を付与したフィルムがあります。
バリア性の高いフィルムは、食品や医薬品用途等の包装用途が主な市場ですが、最近は包装用途ではリサイクル可能なモノマテリアル材料として、また、高いバリア性が必要なOLED・電子材料向け、電極の防湿性やバリア性が必要な電池関連向け、などの用途領域があります。
| 用途 | バリア性フィルム材料 (EVOH・PVDC等) | Al箔(ラミネート) | Al蒸着 | AL2O3蒸着 | SiO2蒸着 |
| 食品用途 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
| 医薬品用途 | ◎ | ◎ | △ | 〇 | 〇 |
| モノマテリアル材料(リサイクル可能:食品用等) | 〇 | × | 〇 | ◎ | 〇 |
| OLED・電子材料 | △ | 〇 | △ | 〇 | ◎ |
| 電池関連 | △ | ◎ | △ | 〇 | 〇 |
用途の現状および将来性 ◎非常に高い 〇高い △適用可能 ×可能性低い
アルミ箔ラミネートフィルム材料と用途
アルミ箔ラミネートのフィルム材料は、一定の厚さのアルミ箔(数μm~数10μmオーダー)を樹脂フィルムでラミネートしたものです。フィルム材料は、PET、PP、ナイロン、PVC、PEなどを、その用途に応じて使い分けています。
包装用途としては、レトルトパウチ、コーヒーやお茶の香気保持の包装、また、医薬品では防湿性のニーズのためよく使われます。医薬品用途では高い防湿性が必要なこと、また材料の変更に対して保守的なこと(中味の医薬品が保証できるかを検証するのを検証する等の切り替えコストが高い)から、アルミ箔ラミネートの用途ニーズは継続すると考えられます。
アルミ箔ラミネートの他の主要用途としては、リチウムイオン電池の用途があります。リチウムイオン電池の用途は、スマホ/PC向け、EV用途の電池等がありますが、リチウムイオン電池は電極の防湿性と液漏れ防止の点でアルミ箔ラミネートフィルムがほぼデファクトになっています。新しい電池、例えば全固体電池などでも、まずはアルミ箔ラミネートフィルムからになると思われます。
アルミ蒸着フィルム材料の用途
アルミ蒸着フィルムは、主に汎用フィルム材料(PET、PP、PE)に数10nmのアルミニウム層を蒸着したフィルムです。バリア性はアルミ箔ラミネートには劣りますが、フィルムの薄手化、生産性やコスト面の強みがあります。
アルミ蒸着フィルムの主要用途は食品包装用で、一定の防湿性と遮光性、軽量化などの効果があり、スナック菓子の包装用などの用途市場があります。また、アルミ蒸着フィルムはアルミ箔ラミネートに対してリサイクル性が担保されるため、モノマテリアル材料(リサイクル可能な材料)として扱われています。ただし、無機蒸着フィルムもモノマテリアル材料として扱われるので、競合することになります。基本的には、食品の防湿用途にコスト重視で使われていくと思われます。
無機蒸着フィルム材料の内容と用途
無機蒸着フィルムは、シリカやアルミナのような無機層を汎用フィルム材料(PET、PP、PE等)に形成したものです。無機層は、蒸着(真空蒸着や反応性蒸着)、スパッタリングなどの加工方法で形成されます。
無機蒸着フィルムの物性面の特徴は、透明性を付与することができること、設計により高いバリア性を付与できることにあります。用途ニーズとしては、モノマテリアル材料、OLED・電子材料、電池材料等、リサイクルといった新たな特徴や高機能化ニーズが高い領域になります。
また、無機層のアルミナとシリカ、また膜形成の蒸着とスパッタの加工方法は、用途・機能によって使い分けられています。食品等の包装用途では、アルミナもしくはシリカの蒸着法が生産性が高いため主流になっています。一方、シリカのスパッタリングは、バリア性の高い膜が得られる、半導体用途で技術的な蓄積がある、屈折率や透明性でシリカが優位、等の点からOLED用などの高機能用途に展開しています。最近は、無機膜の多層化でより高バリア、クラック抑制などの技術検討が進んでおり、電池用途ではより薄手化したフレキシブル電池などの可能性も検討されています。
まとめ
フィルムの高バリア化は、食品や医薬品の防湿等の用途から、OLEDのような電子材料、電池材料の防湿など、機能的なニーズのある用途に広がっています。食品等の包装用途ではリサイクル性、電子材料では透明性とバリア性、電池用途ではバリア性と薄手化等の機能要望のトレンドがあります。
バリア性フィルムの用途、材料に関して、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。
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