ラミネートによるフィルム材料

材料技術

フィルムのラミネートとコーティング加工のすみ分け

バリア性フィルムの中でアルミ箔とフィルムのラミネート材料を紹介してきました。数種類のフィルムのラミネートは、フィルム材料の機能化としてよく用いられます。ここでは、ラミネートが良く用いられる用途領域をご紹介していきます。

フィルムのラミネートがよく用いられる目的は、機械特性の向上、ピンホール耐性付与などの、積層によるフィルム強度の向上です。また、包装用途のヒートシール性付与もラミネートが多いです。また、機能性としては、フィルム材の放熱性付与や絶縁性付与など、その機能層の厚みが厚い方が機能を発揮しやすい場合にラミネート加工やラミネート積層材料が用いられます。

フィルムの機能化ラミネートコーティング
(wet)
表面処理・
蒸着・スパッタ等
表面の保護
表面機能化(親疎水化等)
密着層
粘着層
光学機能化
導電層・EMI
バリアフィルム
機械特性向上
ピンホール耐性付与
ヒートシール性
放熱性・断熱性付与等

 用途の現状   ◎主流 〇よく使用される △使用可能性あり —事例小or不明

ラミネートによるフィルム強度の向上

ラミネートによるフィルム強度の向上としては、以下のような方向性があります。

  1. 汎用材料と靭性材料の組み合わせ:PETフィルムとPA(ポリアミド)、PEフィルムとNY(ナイロン)のラミネートなどです。PAやNYは、耐折り曲げ性や耐衝撃性が高い材料であり、汎用フィルム材料とのラミネートで強度が向上しします。また、PAやNYはピンホール耐性や耐突き刺し性に優れており、真空パックやレトルト食品用途にラミネート構成で用いられます。
  2. 剛性材料と衝撃吸収層:剛性の高いPETフィルムと柔らかいPEやCPP、TPU(ポリウレタン)等とのラミネート材料です。PETに働く外力を柔らかい衝撃吸収層で吸収します。また、PEやCPPはヒートシール性もあり、食品包装や医薬品包装用途に用いられます。
  3. アルミニウム箔やセラミック層をフィルムでサンドイッチした構造:破れやすくクラックなどの発生しやすい金属やセラミック膜を、フィルム材料により強度を付与します。

ラミネートによるヒートシール層付与

ヒートシール層は、その強度を出すために20~100μm程度の厚みが必要なため、ラミネートが主流です。用いられる材料としては、PE、CPP、NYなどがあります。ヒートシールは、食品や医療用の包装用途でパッキングする際に使用することが多く、そのヒートシール温度、ヒートシール強度などの特性要求があり、いくつかの材料が開発されています。

ヒートシール層の形成は、基材へのラミネートの他、薄手のヒートシール層の場合はコーティングによる付与、また、共押し出しにより基材とヒートシール層を形成する方法などがあります。

ラミネートによる放熱層、絶縁層の付与

放熱性のあるフィルム材料は、EV電池やパワーモジュールの放熱材、もしくはスマホやPCの放熱材に用いられます。放熱性を付与する材料は、EVやパワーモジュールでは熱伝導性の高いBN(窒化ホウ素)やAlN(窒化アルミニウム)で、熱伝導性が高いとともに絶縁性があります。スマホ等ではグラファイトが多く、熱伝導性はありますが電気を通します。放熱性のラミネートは、これら放熱材料を高含有率で含む厚みのある層を、基材フィルムのPETやPIに積層して作成します。

ラミネートによる絶縁性材料は、絶縁性を高める考え方として単層のフィルムでは一部の欠陥から絶縁破壊するため、フィルム材料を積層することにより欠陥の確率を減らすという考え方があります。このため、PETとPETのラミネート、PIとPIのラミネート、PET不織布/PET/PET不織布積層などの材料があります。絶縁フィルム材料は、上記の放熱性層との組み合わせなどでEVやパワーモジュールの開発が進んでいます。

まとめ

ラミネートによるフィルム材料は、機械的強度やピンホール耐性など、物理的に強度をあげるのに有効な手段です。また、ヒートシール層のように厚みが必要な層もラミネートによる付与が多いです。最近の機能化材料としては、放熱材料、絶縁材料といった、性能の発現のためにフィルムの一定の厚みが必要な材料は、ラミネート構成が主流です。

また、これらのラミネート材料を作成するには、フィルム間の密着(密着過去記事はこちら)や接着(接着の過去記事はこちら)の技術検討が必要になります。以前の記事でご紹介しており、ご参考にしてください。

ラミネートによるフィルム材料に関して、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。

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