日本と米国の知財環境の違い:知財の活用

知的財産

米国における知財活用として、まず思いつくのは訴訟件数の多さとその結果の金額の大きさです。特許関係の訴訟では件数として日本の20倍程度、損害賠償額としては数10~100倍位の例があります。一方、特許に関しては差止は若干認められにくいようです。訴訟は特許以外にも、意匠・商標・営業秘密なども多く、米国が訴訟社会という言葉を実感します。また、米国の訴訟の特徴としては、証拠開示・調査が徹底されていて、ディスカバリー制度は日本の企業活動における証拠の保全などにも影響します。
また、特許や知財の権利の活用に関しては、SEP(Standard Essential Patent:標準必須特許)制度やパテントプールなどの仕組みがあります。SEPは電機や通信などの国際標準を実施するために必須の特許です。通信や電機、映像メディアや、最近は自動車などの業界でSEP制度の活用を行っています。パテントプールは、SEP特許に関してまとめてライセンス活用する仕組みと、SEP以外に一般特許中心のパテントプールがあります。SEP以外のパテントプールとしては、医薬・バイオ関係が多いですが、農業・種苗や、最近ではAIやロボット、エネルギー等の業界にも広がっています。これらの仕組みに対しては、日本は参加・活用が中心ですが、米国はライセンス・収益化が進んでします。

また、日本人の目から見て米国での特徴的な知財活用は、大学スタートアップやVCなどでの特許等知的財産の資産活用です。大学 → TLO → VC → スタートアップ → IPO/M&Aという事業化の流れができており、個人や組織が活発に動いている印象があります。また、企業のM&Aでは、特許・知財等の無形財産が資産評価の中心となっています。また、特許金融や売買、防御的パテント集約(Defensive Aggregation)など、特許のマネタイズや資産活用の仕組みが様々にあります。

日本企業での実務経験では、特許は技術を守るものでコストとみられることが多い印象があるのですが、米国の特許の活用の幅と広さをみると、その差とともに、日本での知財活用の広がりにはどのような方向性や形があるのか、などを考えたくなります。

項目日本の制度が促す行動米国の制度が促す行動
特許権自社実施・技術防衛訴訟活用・収益化
訴訟制度協調競争
大学知財共同研究スタートアップ創出
SEP制度相互利用・クロスライセンスライセンス事業
投資市場技術評価IP評価
VC市場性重視IP重視

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